亘さん

モンキーマンの亘さんのレビュー・感想・評価

モンキーマン(2024年製作の映画)
4.5
他の方が仰るように「インド版ジョン・ウィック」と言われたら確かにそうなんだけど、少なくともキアヌ・リーヴス初監督作品『ファイティング・タイガー』より遥かに出来が良くてビックリした。主演のデヴ・パテルが監督と共同脚本で、当初ニール・プロムガンプが監督しようとしてたのも驚いた。

ムンバイで底辺の生活を送る男が母を殺された復讐をするというありきたりのストーリーではあるんだけど、とにかくアクションの撮り方が上手い。地下格闘の狭いリングの中の戦闘シーンはカメラが激しく動くのでPOV映画の『ハードコア』に近いものがある。これは機材の不良でデヴ・パテル本人のiPhoneで撮影したというから凄い。臨場感のあるアクションシーンはスタイリッシュでカラフルな照明もジョン・ウィック的ではあるんだけど、銃に頼らず拳とナイフで血みどろの戦いを繰り広げるのは人間味があってよりリアルに感じられた。
インド映画らしさも織り交ぜつつ、貧困や圧政といった社会風刺もあって全体のバランスのとり方がすごく上手いなと思う。
『暁に祈れ』『オンリー・ゴッド』『燃えよドラゴン』あたりの雰囲気が好きな人には文句なく楽しめると思う。ノンストップでバイオレンスとアクションが頭から尻尾まで詰まっていて、ジョン・ウィックシリーズ後半でガッカリしてた自分にとって「こういうの見たかった!」という1本だった。爆走オートリクシャー最高。サントラもめちゃくちゃカッコいいです。
亘さん

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