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コット、はじまりの夏のパピヨンのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.3
このところ振り返るとアイルランド作品を目にする機会が多いかも「イニシェリン島の精霊」「探偵マーロウ」「ぼくたちの哲学教室」「マイ·ニューヨーク·ダイアリー」「サンドラの小さな家」「博士と狂人」等々で気になってます。
1981年アイルランドの田舎町 少女コットは大家族の家庭にも 学校でも馴染めず必要最小限の言葉しか発しません。そんな息苦しい日々の中 親戚の夫婦にしばらく預けられることになります。農場を営む ぶっきらぼうだけど愛情深いショーンと知性溢れる妻のアイリンに 時間の長さを超越した愛を注がれるのです。これは周りから 厄介者の不出来な子として扱われてきたコットの成長物語と 過去に大きな苦しみを背負ったままのショーンとアイリン夫婦の再生物語が表裏一体となった作品なのです。
最後にコットが実の父親に発する「ダディ」と ショーンの耳元に発した「ダディ」と言う同じ言葉だけど 明らかに違う心情にやられます。いや何とも素晴らしい「あんばい」「バランス」「引き算」の計算され尽くした傑作との出会いとなりました。美しいです。
これ全てが実母の計算だったなら な~んて考えたりもしましたよ。
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