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パスト ライブス/再会のtwitwilightsのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.3
エターナル・サンシャインって映画観たことある?

A24ぽいとの直感は、おそらくそのルックから"アフターヤン"を想起したからだけであって、勿論中身はまったく異なものであった。そして、縁もまた異なもの。

What A Difference A Day Made ...

これほどミニマルな劇作なのに、この奥行き。運命に翻弄される三角関係モノは数あれど、これほどまでに抑制された感情を淡々と追尾する映画をはじめて観た。

主役の二人は勿論素晴らしかったが、終盤、心のなかでずっと「マガロー!」って叫んでた(笑)。「ファースト・カウ」での“あの”無垢な眼は、今回も健在であった。

撮影(アングル)も終始素晴らしい。ソウルの彫刻公園。12歳のふたりが互いの家路へと辿る分かれ道。雨の描写、リフレクション。ブルックリン橋から望む摩天楼(自由の女神の背中w)。イースト・ヴィレッジの住宅事情。そして、主役ふたり(三人)の嵐のような内情を、ロング、ズームの使い分けで、(あのラストシーンまで)あっさりと平穏に切り取っていく。監督のセリーヌ・ソンは、(映画史における)普遍的な絵作りを本作に求めたのではないか。本作が長編デビュー作とは驚き。

曲使いでは、ヴァン・モリスン、ジョン・ケイル、レナード・コーエンとな。渋い!

そして、オリジナル劇伴も印象深い本作、そのアコースティック・ギターのグリス音のように、痛々しくも美しい物語だった。ヤられた。まだまだ尾を引きそう。
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