映画紹介などで語られている以上でも以下でもない作品。
ドラマチックなことが起きるでもなく、どんでん返しやドキドキすることもない。登場人物の心を微かに揺らすさざ波を、ただただ静かに描く。
それがどうしたと片づけてしまえるストーリーなのだが、決して嫌いではない。
はかなく淡い幼い頃の恋。親しかった人とも日々の暮らしのなかで疎遠になっていく、そんなやるせなさ。あの時、ああしていたらどんな人生だっただろうか……。
誰にもひとつやふたつはある後悔にも似た追想を、あくまでもサラッと「縁＝イニョン」という言葉で受け止める登場人物たちが愛おしかった。
オープニングの第三者目線のシーンが、プロローグとして秀逸だった。
