どびぃ

あのこは貴族のどびぃのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.8
金持ちをデフォルメし過ぎてるようにも感じたし、逆に自分が知らないだけで、本当にああいう世界がいまだにあるのかも、と。映画のリアリティラインに気を取られて、うまく没入できなかった。
とはいえ監督の視点の鋭さは随所に感じた。様々な対立(断絶)構図をストーリーに落とし込む手際も見事。
石橋静河が水原希子をカフェに呼び出した際のセリフにハッとさせられた。
「日本て女を分断する価値観がまかり通ってる」
「女同士が対立するように仕向けられる」
これって既得権益者の常套手段だ。女性だけじゃない。生活困窮者が難民を排斥したり、パワハラ被害者が更に弱い立場の人を恫喝したり。弱者同士が連帯しないよう分断しておくことは、既得権維持には有効なのだ。
貴族ながら虐げられている門脇麦と、平民だがたくましく戦っている水原希子に友情が生まれた時、物語の歯車がひとつ回る。
地味ながら良質な作品だった。
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