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パスト ライブス/再会のhonobonのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.1
サヨナラは別れの言葉じゃなくて

冒頭のシーンでグッと鷲掴みされる。
いくらA24だからといってあまり触手が伸びそうにないタイプの魅力がうまく乗ってこない雰囲気がたち込んでいたのが嘘のようで、終わってみたらシャンタル・アケルマンの『家からの手紙』を見ている感覚になっていた。
それもあるし、またもや『エターナル・サンシャイン』を思い出す(というか出てきた)作品だとは。そろそろ見直すべきか?

離れ離れになったふたりの12年ごとに接近する時間とすれ違っていく時間軸。
距離は離れても"さよならは別れの言葉ではなく、"を予感する。お互いがそばにいる間柄でのなく、ある瞬間に同じ軌道になる惑星同士のようで。移住をせず、ソウルの街で別れていたら"男らしさ"を然とする韓国人男性と"ニューヨーカー"になった韓国人女性の再会はないだろうし、二人を引き裂く白人男性も現れない。

冒頭のシーンが、会話はなくともゼロ地点になるのかと思えば、"if"の世界を想像するものとはね。
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