このレビューはネタバレを含みます
💬ソウルに暮らす12歳の少年・ヘソン（演：ユ・テオ） と少女・ノラ（演：グレタ・リー）。お互いに幼馴染として以上の気持ちを抱いていた2人だが、ノラがニューヨークへ移住することになり、離れ離れになってしまう。12年後、24歳になった2人は、オンラインで再会を果たす。ニューヨークで暮らすノラと、今なおソウルで生きるヘソン。2人はビデオ通話を重ねる中、再び互いへの恋心を抱きながらも、すれ違い、関係は途絶えてしまう。そして、さらに12年が経ち、36歳となった2人。ノラは作家のアーサー（演：ジョン・マガロ）と結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。24年ぶりに再会した2人の7日間とは。メインの2人よりも、アーサーに対してがっつり感情移入してしまった。そもそも、アーサーが作家であるという設定も良い。劇作家のノラを愛し、同じく自身も作家であるアーサーが、映画のような物語を持ったノラとヘソンの関係性に対して特に強い気持ちを抱くのは想像にかたくない。そもそも、ノラから「イニョン（縁/運命）」の話を聞いて、自分たちにもイニョンがあるのかと聞いているシーンからも、そのようなロマンチシズムに憧れる人物であることが伺える。夢のくだりも良かった。ノラが寝言では韓国語を話していることを気にしているという話。ノラと英語で会話をしているアーサーにとって、夢の中のノラにとってアーサーの居場所がないようで寂しくなるという気持ちが分かりすぎるくらいに分かってしまう。好きな人の夢の話に自分が出てこないことは寂しい。とにかくアーサーに共感できた上に、アーサーは寂しさと嫉妬の感情を持ち、「すごい物語だよ、この物語で僕は、運命を阻む邪悪な米国人の夫だ」などと言いながらも、「彼は13時間もかけて飛行機で来た。会うなとは言えないよ」と言って、2人の再会を阻むことはしない。ヘソンにきつくあたることもない。彼の優しさと精神性が素晴らしくて、本当に好きなキャラクターだった。そして、ヘソンと別れたノラのラストシーン。抑えていた、隠していた、見えないふりをしていた気持ちたちが溢れ出し、アーサーの胸で泣く。それを優しく受け入れるアーサー。印象的なラストシーンは本当にお見事だった。ひとつだけ気に入らない点があったとすれば、そのシーンが良すぎてそこで終わってほしかった感が否めないこと。余韻を残すのに最高のシーンだったが、わざわざ場面を夜から朝に移して、ヘソンをもう一度描写する最後の車でのシーンは余韻が薄れてしまって残念だった。
初鑑賞:2024年4月20日
鑑賞方法:映画館（TOHOシネマズすすきの）
2024年108本目。
4月18本目。
🗣とっても良かった。アーサーに共感しすぎてやばかった。深く共感できる人物がいるとその映画やキャラクターを好きになりがちだよね。
