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パスト ライブス/再会の郵便機のレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.3
あなたは上書き?それとも追加書き?
〜男と女の量子もつれ vol1〜

恋愛の取り扱いには「上書き」と「追加書き」の2つのタイプがあるという。

上書きというのは、過去は過去、今は今と割り切り、新たな恋愛で過去の恋愛を上書きする。
追加書きというのは、過去は過去でそっと別に置いといて、新たな恋愛をする。

一般的に上書きが女で、追加書きは男といわれるが、一概に言えることでもないし、人それぞれ。

- 物語

この映画の二人の主人公に限っていえば、女のほうが「上書き」、男のほうが「追加書き」だろうか。

女は幼い頃に韓国から米国へ移住、結婚し、仕事に意欲的で、理解のある夫と二人NYで暮らしている。
男は幼い頃に好きだったその女との関係をいまだ引きずっている。

その二人が、NYで再会をはたす。

10年ぐらい前にビデオChatで会話をしていて、だいたいの風貌の変化や感じは互いにわかっていたが、直接対面するのは幼少期から20数年ぶり。

さあどんな言葉からはじめようか。

- 静けさの漂う絵画的な映像

雨のNY、水たまりに映る姿、そぞろ歩く二人。
交わす会話はほろり、ほろり。
その二人の姿をカメラがちょっと離れた横から、前から、後ろから追う

映像の切り取り方が絵画的で、静けさと余韻が残る。
その背景がNYの街並み。
雰囲気が良い。

- 恋愛の距離感、男と女の量子もつれ

恋愛の距離は年月が経てば経つほど、どこまでも離れていく。
それが上書きであろうと、追加書きであろうと。

ところがよくわからないが、昨今話題の「量子もつれ」のように、恋愛の距離がいくら遠く離れてしまっていても、相通じる部分が残っていたりする。

主人公のふたりは、その「男と女の量子も
つれ」的な「理由はよくわからないが、互いに相通じるところが残っている?」を確認しあう。
 
互いに交わるための確認ではなく、互いに
互いの前へ進むための確認。
 
===

この映画みて思い出した。
幼稚園の頃、好きな子がいて、周囲の友達
からひやかされるぐらい、毎日一緒にラブラブしてた。
まあ、相思相愛ってやつです。
互いに別々の小学校で離れ離れになった。
・・・
どういうわけか、自分は高校生になると、
ふとその子のことを思い出し、どうしても 会いたくなった。
それでその子の家を訪ねに行ったことがあ
る。
すでに引っ越していた。

当時、どうしてそういう若気の至り的行動 に走ったのか、自分でも謎。
男と女の量子もつれを確認したかったのか?
それともやっぱ、自分「追加書き」なんすかね?(笑)
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