家族3代で経営する人形劇の小さな劇団の行く末を、座長である父親の死をきっかけに人生が変化していく3人の子供たちとともに描いた、フィリップ・ガレル監督の最新作となるドラマ映画。
家族経営の小さな人形劇団が衰退していく様子を描くことで、昔からの伝統や古典芸能がどんどん消えていく今の世の中を悲しんでいるようである。全体的にとても静かで落ち着いた演技もそんな感じに拍車をかけている。男女の恋愛関係を深く描いていくという作風がフィリップ・ガレルに対する個人的な印象だっただけに、本作のような枯れた作品は新鮮ではあるが、もうさすがにそういう境地に達したのだろう。地味だけれど、素敵な映画である。
何と言っても本作の特徴は、主人公である3人の子供たちに、監督自身の実の子供であるルイ・ガレル、エステール・ガレル、レナ・ガレルの3人を起用した点であろう。どうせなら、フィリップ・ガレルが父親役を演じればよかったのに。それにしても、人形劇は腕が疲れそう。