このレビューはネタバレを含みます
お友達から良かったよという話を聞いて鑑賞。あらすじは聞いていたけど、細部が想像していたのと違って、それがとてもよかった。
ルシアの性自認については、プールに入りたくないところとか、名前が定まっていないところとかに現れているのだけど、最初はよくわからなくて混乱した。
でも母親とおばあちゃんの話で、「あなたが混乱させているのよ」と出てきて納得。ルシア自身も混乱していたのね、そりゃそうだよね。
しかし、人からそう指摘される母親はつらいだろうなとも思った。この映画はそんな母親の立場もしっかり描いていてとても良かった。
私個人としては、ルシアがはっきり「no」を言えることにかなりびっくりした。男の子の名前もイヤ、キスもイヤ、プールの更衣室で母親を拒絶する時も「イヤと言っているのにどうしてやめないの?」とはっきり言っててすごいなぁと思った。私もそう言えたらよかったのにと思う。
というのは、私自身が発達障害を持っていて、いわゆる定型(マジョリティ)に合わせることにほとほと嫌気がさしているからだ。なぜいつも私がみんなに合わせないといけないのか? なぜ私らしく振る舞うことは許されないのか?ということを強烈に感じて、少し疲れた。
彼女は自分を受け入れてくれるおばさんや友達の助けもあって、ルシアという自分の名前を見つける。実は私も自分に名前がなくて困っている(本名はあるが自分の名前だと思えない)ので、この過程にはとても感じるものがあった。
親たちに名前を呼ばれても出てこず、ハチに「私はルシアだよ」というラストがとても良い。自分の名前を呼んでいい人を決めるのも、彼女自身なのだなと思ったから。