ひば

ポライト・ソサエティのひばのレビュー・感想・評価

ポライト・ソサエティ(2023年製作の映画)
4.3
自分の分身が自分から離れようとすると自己解離に陥る話として一貫してると思った。スタントウーマンしかり、母の役割しかり。姉ちゃんは決してわたしにNOとは言わない、なぜなら姉ちゃんはわたしの一部だから…バウンダリーの概念が近年身にも浸透し始めたからか、いやつまされたからか、実感がある以上他人事ではなく、物事を自ら受け入れられる準備が整ってないとまわりのものすべてが自分を攻撃しているように感じる(だからいやそれはどうなんだという他の問題行動に平気で走ってしまう)って表現の鞭をビシビシ浴びたというか…キャッチコピーも"向かうところは敵だらけ"だし。
勝つ見込みのない賭けに身を投じるしかないってとてもつらい、勝つために賭けるのとは違う。男性に多いとされるギャンブル依存症は後者。女性にとって昔の結婚は前者だったのかも。"私は私であるが、私の私ではない"って文を読んでからよく考えてたけど妙にすっと入ってくる。自分に偏見があるからか女性が物理的に戦ってボロボロになる姿はすべて心象描写に見えてしまい、"女性"の物語だからフェミニズム作品と一括りにしてしまいそうにもなり…2022年のスイス/フランスドキュメンタリー『スタントウーマン』で、スタントウーマンという言葉を聞いて一般人が浮かべるイメージと実際の状況には溝があると、ある種の告発的な作品でびっくりしたときと思い重ねました。そういえば、女性向けの護身術のひとつに「NO!」と言いながら相手の腕を解くってのがあって、こういう作品で同じような型を見れておぉとなった。男性とは一切戦わないのよねこの映画。リアが自分の鼓舞も含めてどの言葉も叫びながら世界に発信してて元気いっぱい。女は夢と恋だけでそれ以外は"無"や"停滞"なの?いや~~そんなことないっしょと笑うそんな作品わりと心は救われる。姉ちゃん夢と恋で両鎖繋がれ「私は両親をガッカリさせてる」まで言うんだぜ…そんなことないよ…
どんどん自分より若い子たちが主役の作品が生まれるなかで、こんな若いのにこんなに難しくて複雑なこと考えて日々生きてるんだなと昔のぼんやりとした自分が恥を晒して生きていたように感じて、避けられないのかこの現象
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