このレビューはネタバレを含みます
呪いのようにも思える友情とその変遷。
香港版は未鑑賞の状態で観させて頂きましたが、一言で「面白かった」や「楽しかった」と言えない凄みのある作品でした。
内容としては、とある作品が絵画コンテストで受賞したことをきっかけに、キム・ダミ演じるミソがその作品と関係があるだろう、大親友ハウン(チョン・ソニ)との記憶を回想していく中で、やがて「2人の秘密」が明かされるといったものになっています。
良かったところからいきますと、無理のない範囲での魅力的なキャラクター設定や、映画への共鳴度を高める劇伴、時系列を複雑に絡ませたことによる後半部のカタルシス(伏線回収的な面白さ)、ライフステージによって、どれだけ想い合っていてもすれ違いが生じてしまう人間関係のリアリティ、言葉をいくら交わせども伝わらないディスコミュニケーションの様相、前半と後半で主人公2人の思想が、憧れ→実現、実現→(ある意味での)憧れという流れとして綺麗に反転している点等々、多くの部分で映画的に観客を楽しませる要素が用意されていました。
ただ、あまり成功していないのではと思うところも明確にあり、ピョン・ウソク演じるジヌの脚本都合に見えてしまう行動の数々や、ミスリードを誘いたい(ツイストを狙いたい)がためにも思える『キング・オブ・コメディ』、或いは『バッファロー'66』的嘘(空想?)シークエンス、ハウンが残した、写実的な絵をそれまで抽象的な絵しか描いていなかったミソが完成させる、筋だけを優先した流れには、流石に納得できませんでした。
あと、良い悪いを抜きにして、ラストカットについては観た方と意見を交わしたい部分でしたね。
皆さんはどう受け取られたでしょうか?
死によって解放されたと捉えるにしても、人によってハッピーエンド、バッドエンド(或いはビターエンド)と解釈が分かれる気がします。
私としてはポジティブな受け取り方で、ミソの中で生き続けながらも、憧れであったミソのような生き方が死して実現できているという、ハウンにとって1番幸せな終わり方であったように感じました。
ミソはミソで完全に幸せとは言えないまでも、共に生きていくことになった訳で、その点から見ればハッピーエンドだったのかなという解釈に落ち着きました。
良ければ観た方の所感も聞いてみたいところです。
下のコメント欄に書いて頂ければ、しかと読ませて頂く所存です。
総じて、強く出た絶賛点、酷評点のバランスを取って、4.0には届かずともしっかりと映画としての面白さが担保されていた佳作と判断しました!