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ビヨンド・ユートピア 脱北のnamのレビュー・感想・評価

4.1
「脱北への密着を通じて見えてくる北朝鮮の狂った実態」

非常に見所のあるドキュメンタリーでした。
謎の多い北朝鮮、そこで暮らす人々の地獄のような実態と脱北しようとする人々を通してその狂いぶりを知れました。

構成としては再現映像などはなく。脱北を支援する韓国在住の牧師さんを中心に2組の脱出に密着、合間に北朝鮮の実際の映像や脱北者による振り返りのインタビューなどでその国家の実態が描かれます。

まず形容される国家全体が一つの刑務所という表現が物語る異常性。そして極度の情報統制によって国民はその現状が素晴らしいと思い込まされる洗脳の怖さ。人類史においても最悪の独裁国家なのではないかと思わされます。

脱北は北朝鮮の国境を越えれば終わりでなく、隣の中国含めいくつかの国は北朝鮮と友好的な国なので警察に捕まれば強制送還で、ほぼ死刑のような扱いという脱出サスペンスとしても緊迫感がありました。

そして脱北を通して特に印象的だったのが80歳のおばあちゃん。彼女にとってはツラい道のりだったであろう脱北までのルートは壮絶さを感じつつ、80年間洗脳され続けているので簡単には外の世界の人々を信じない様子など洗脳の怖さを感じつつ、初めて見る北朝鮮以外の外の世界との触れ合いや反応は映像としてとても強いものを感じました。

きっと今年のオスカーの長編ドキュメンタリーでも入賞されてくるのが期待できる素晴らしいドキュメンタリーです。
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