sammy

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のsammyのレビュー・感想・評価

5.0
042/2024

「おそらく私はこの壇上で、この映画が作られなければ良かった、などと言う最初の監督になるだろう」
今年のアカデミー賞の授賞式の壇上で監督が述べた言葉だ。

これは映画ではありません。現実です。
グロいとか残酷とか言ってる場合じゃない。
信じられないことだけど今もウクライナの空の下では同様のことが起きているはずなのだ。


今日は今作含め二、三本ハシゴする予定でわざわざ新宿まで出たんだけど
今作を他のフィクション作品と立て続けに観て同義に扱ってはいけないと思い至り、他をキャンセルして午前中で帰路に着きました。

さておき

まず命懸けでこの映像を世界中の人に届けてくれたAP通信のジャーナリスト、今作の監督ミスティスラフ◦チェルノフ氏、エフゲニー◦マロレトカ氏、ワシリーサ◦ステパネンコ氏に最高の賛辞を贈りたいと思います。
プーチンによる戦争犯罪の貴重な証拠という意味でこの映像をウクライナ国外に持ち出せた功績は多大なものであると思います。
ピュリッツァー賞も納得です。

自身の生命の危機よりロシア軍に映像が見つかり「映像はフェイクだ」と証言させられることを危惧しているという言葉は最早ジャーナリズムを超越していると思います。

いつまで人類はこんな愚行を繰り返すのか。
如何なる理由であれ民間人の虐殺なんて許されていいはずがありません。
現代に生きる我々は、理不尽に家屋も生命も奪われるマリウポリ市民の姿を、現地の医療関係者の無力感に打ちのめされる姿を、プーチンによるウクライナ人の虐殺の数々を目を背けず直視しなくてはならない。

ロシア軍の爆撃で殺害された、広場でサッカーをしていただけの17歳のイリヤ君や4歳のエヴァンゲリーナちゃんとうちの子どもは何が違うというのか。
殺されたのはあなたの友人や恋人、家族かも知れないのだ。

世界中の1人でも多くの人に観てもらいたいです。
今もウクライナのどこかでマリウポリのような犠牲者が出続けているかと思うと本当に胸が痛いです。
一刻も早い戦争の終結を望みます。

現在ロシア軍は監督の住居があるハルキウ方面にまで戦力を伸ばしているらしいけど作中にもあった監督のご家族は無事なのだろうか。
sammy

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