sammy

碁盤斬りのsammyのネタバレレビュー・内容・結末

碁盤斬り(2024年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

045/2024

白石和彌監督で時代劇?
いったいどうなることやらと劇場に足を運んだが果たして杞憂でした。
序盤の風鈴を見上げるシーンで早々と白石監督の新境地を垣間見た気がします。

予告を見て敵討ちの話なのはわかってましたが
それだけに止まらず中々の骨太で硬派な作品でした。
派手なシーンは少ないけど並行して進む問題と先の読めない展開で常に緊張感があり物語に厚みがあったとおもいます。

照明の妙。
行燈や提灯の灯りくらいしかない時代の夜の暗さがよく出ていたと思う。
暗すぎても画が見えないし明るすぎても雰囲氣でないしその点絶妙でした。
江戸情緒や風習が窺い知れるシーンも多くあり丁寧に作られているのが伝わってきましたね。

前半が穏やかだったせいで後半のお話が進み始めてからのボルテージの上り具合がすごい。
ボリューム的に最初から話が盛り上がっていたら中弛みしていたかもと思うと後半に物語を集約させたのは英断だと思う。

前半の柳田格之進(草彅剛)のどこか達観したような眼差しから一転、怒れる侍になったときの火がついたような眼がとても印象深い。
この主人公が温厚なだけの人物ではないというのがいい。
斬るのか斬らないのかがわからずハラハラする。

お庚(小泉今日子)も同様で足抜けしようとした女郎に対しての仕打ちのシーンで覗かせるシビアな顔も持っているおかげで期限を守れなかった時の物語の行方が気になる。

萬屋源兵衛の役は國村隼だよなあw
うっかりが大事件の元になるというのも
シリアスとコミカルが共存してて面白かった。
首切りを勝手に約束されてたのを知った時の表情w
楽しい。

柴田兵庫(シン•ウルトラマン)の動機は少し弱い気がする。
もう少し妬みみたいな描写が濃くてよかったかな。

碁盤斬りってそういうことか。
「隠し剣鬼の爪」みたいな必殺の剣を期待してたら全然違いましたね。

囲碁は簡単にルールがわかる程度なんですが好きな人ならもっと面白いんでしょうね。

最近じゃめっきり少なくなった時代劇だけど失われつつある日本人の心と文化の為にもこれからも作り続けて、時折思い出させて欲しいと思いました。
sammy

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