アイスランドの大自然を堪能できる映画であり、人間はちっぽけだっていう話で見せ方としてすごく良かった。し、この頃のアイスランドがデンマークの統治下にあることを考えると、主人公の牧師・ルーカスがデンマーク人しかまともに相手せず、「言葉がわからない」「何を言ってる？」と繰り返し、アイスランドの土地とそこに住む人々を拒絶し蔑む態度が、全体に響いてくる。美しい自然はその地の人間にとって美しいだけでなくとても過酷で、そこに適応しようとしない主人公は当然のごとく苦しみ、土地の人々と衝突する。そういった人々の葛藤や対立、罪すらを平等に扱う自然、そして死こそが人間同士の調和をもたらす唯一のものかもしれないと思わされる、九相図のような映像の凄みが、映画館で観て本当に良かったと思わされた。犬ありがとう。
