イモリん

明日香に生きるのイモリんのレビュー・感想・評価

明日香に生きる(2023年製作の映画)
4.0
少子高齢化が叫ばれだして久しい。
3割近い人が高齢者と言われるが、2065年には38%にまで跳ね上がるという。
みんなこの問題に対してどう思うのだろうか?
不謹慎かもしれないが、私は不可抗力を感じてしまう。

子どもが増えたほうがいいのはわかってても、子どもを安心して育てられる環境があるだろうか?
より高度を上げて俯瞰したとき、国単位では人口増加が必要であっても、世界全体で見るとこれ以上の人口を食わせる資源はないという現実もある。
つまり、私達はこの先より深刻な少子高齢化と向き合い続ける可能性が高いだろう。

やはり、少ない労働力人口でいかに効率よく医療や福祉を提供するかって話になってくる。
AIがケアプランを立てると謳う施設も出てきてるようだ。
そうしたときに心配なのが、患者の尊厳がきちんと守られるかどうか。
この映画は医療、福祉関係者になにかヒントをくれるかもしれない。

奈良県明日香村。
かつて日本の中心であったが、今はほかの田舎町同様に過疎化が進んでいる。
それでも、「明日香に生きる」ことを願う人たちがこの映画の主人公。
住み慣れた村で、在宅で、最後まで生きたい。
その想いを支える支援の輪。
家族、医師、研修医、看護師、ケアマネ、ヘルパー…

私からしたら出てくる人みんな凄かった。
地域福祉とか在宅医療ってトレンドみたいになってるけど、現場に立つ人は大変よな。
それでも皆さんイキイキしてるというか、自分の仕事に誇りを持ってる感じがして、羨ましいとも思った。
シンギュラリティとか言われるけど、やっぱり人の手の温もりや声の響きには勝てないんじゃなかろうか。

明日香村の風景、ほんまに綺麗すぎる。
素晴らしすぎて、穏やかすぎて…序盤に10分ほど仮眠してしまったのは反省(笑)
あと、最後のお寺でのグリーフケアの集まりで、奥さんを亡くされた男性がポツポツと語る様子は胸に来る。
私ならどんな言葉をかけるのだろうか。

正直、この映画を見て何か答えが出るわけではなかったけど、自分も一人ひとりのナラティブを大事にできる支援者になりたいな、奈良だけに。
ははっ。
イモリん

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