「誰かの助けにはなれる。やさしさに満ちた癒しの作品」
Filmarks枠の試写会にて。三宅監督、映画ライターSYOさんのティーチイン付き。原作は未読。
「ケイコ 目を澄ませて」の三宅監督の次作という時点で楽しみにはしていましたが、また違うテイストで素晴らしい作品に出会えました。
ポスターの男女2人が描かれているのを見るとつい恋愛系かな?と思ってしまいますが本作はそういう安易な方には流れず、人と人の絆のようなものを感じれました。
PMS(月経前症候群)は男性の私にとっては初耳の言葉でしたし、パニック障害も名前しか聞いたことはなく、その詳細を知りませんでしたがそんな社会での生きづらさを抱えた人たちを描きつつもシリアスで暗い雰囲気にならず、とにかく優しい。
序盤こそ彼らの生きづらさを提示するために発作の描写こそあれ、中盤以降はそんなお互いを知り、歩み寄っていき、助け合えるような関係性が心地よい音楽や美しい風景により描かれていきます。
何よりそんな2人を受け入れた栗田科学という会社がとても素敵。見たらこんな会社で働きたいと思える理想の職場で、どんな人でも受け入れ、サポートするような優しさに溢れてます。
そして主演2人の演技がとても自然、特に最近では「キリエのうた」でも素晴らしい演技だった松村北斗さんは本作でもまた違った魅力を発揮しており、ちょっとクールな同僚は自分の周りにもいるなと思えるリアリティでした。
映像も前作のケイコ同様16mmフィルムで撮られているようで、フィルム独特の質感が作品の優しい空気感をより際立たせる役割を発揮してました。
色々と辛いことばかりの現代で、気分が落ちたり、病んだりしがちですがそんなあらゆる人に寄り添ってくれるような作品でした。
映画を見て暗い気持ちになりたくない。ハッピーな雰囲気、癒しを求める方にはオススメです。