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夜明けのすべてのhonobonのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.5
夜についてのメモ

この作品を見終わって癒やされるとか優しいというものは感情として受け取れた感覚がなく、沁み渡り溶け込んでいくような鑑賞後の感覚。

映画を見に行くというよりは、映画へおじゃましに行っているような、そちらでは(でも)「PMSもまだまだだな」と思わず口に出てしまう世の中なんだ。とか、"月曜日から始まる1月のカレンダー"が貼られた事務所で地震が起こる。最近多いとつぶやかれ、そうなんだと感じたり…。

どうして山添はここにいるのか、昼夜の逆転したような親子関係の話は「切り取られた物語」である前提のもと無駄なことを語らず映画的なラストは用意しされていない。ただ、夜空の星々の光が届き、朝を迎えた終わり方。

作品はPMSやパニック障害をはじめとするメンタルに寄り添いながら、藤沢さん、山添くんを見守るそれぞれの上司たちもまた。

この作品を単純に『克服のための物語』と位置づけるのは安易すぎる以上に他人事でしかならず、かといって周囲の人に寄り添ってもらいたいかはまた別の話。
当然知らないよりは知るほうが良いことに変わりはないが。
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