chanmasu

夜明けのすべてのchanmasuのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

うま過ぎる
三宅唱はとんでもないですね。そして今まで観ていなかったのを後悔。始まってビックリしたのがザラザラのフィルム撮影。今こんなことしてる人いるんだと驚く。16ミリらしい。そして上白石萌音演じる藤沢のモノローグで始まるんですがモノローグ苦手なのでここで合わんかもと思う。これが結構長い。5分くらいあるかな?
PMS(生理に伴う体調の悪化?という位の認識)があることにより職場でトラブってしまったという彼女の置かれている状態が説明される訳ですが、この時点だとこれいるかな?と思ってた。しかしこの語りという要素は物語が進むにつれ、必然性を帯びていくように感じる。プラネタリウムは暗闇に星座を模したものに語りが入るという形式。ここでなるほどね、となる。
病院の診察も患者が語り、そこから治療が始まる訳で、この映画においても語りというのはセラピーの意味を帯びてる。
周りの人の他者への想像力がコミュニケーションとなって彼・彼女自身もまた主体となって救い・救われていく関係が素晴らしい。そしてユーモア。この映画はユーモアに溢れててそれも好き。上白石萌音がデカいポテチ食べるとこ。逆さまにヘルメット被る三石研。最高にチャーミング。自分で髪を切ると言ってビニール被ってるのを見て「世界でひとつのプレイブック」のブラッドリークーパーを思い出す。アレもなんかこんな感じのセラピー映画だったような。そしてなんと言ってもフィルムに映る光の良さ。夜の夜景、最高です。光が⚪︎みたいに映るのだけどこれが星座とシンクロ。暗闇で皆んなが投影された光を見ている。これは映画を暗闇で見ている光景そのもので、プラネタリウム🟰映画になってます。ここで思い出すのがウェスのアステロイドであそこの宇宙人を暗闇で皆んなで見ているとこ。傍目から見ると滑稽なんですよね笑。話がそれましたがこれは光とコミュニケーションについての映画だと思った。人生において大切なのこれ。あと編集も素晴らしい。次の場面にテンポよく飛ぶのがいい。そして上白石萌音のスタイリング、可愛い。赤手袋最高。自発的にする優しさや気配りって面倒くさいし、やらない方ですがそれで救われる人もいるはずでその大切さを説かれている気になる。
ファーストインプレッションは確かに重要ですが対話しないと分からないっすよ人間。各々を見つめる眼差しの優しさに包まれる2時間。こんな作品が200館規模で、そこそこ売れているのは希望ですよ。産業としては斜陽かもしれませんが文化としては最近強度が増してる気が。これを見ずして今年の邦画は語れないと思う!というのは言い過ぎと承知しつつそんな気持ちになる。
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