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夜明けのすべてのTEYEGのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.5
PMSとパニック障害がテーマになっているので観ていて心が少し辛い場面も多かった(主演のお2人の演技がすごい)
そのどちらに対しても自分は全然深く知らなかったけど、これからは気にかけて、できれば何か力になれるように生きていこうと思えた。

また、苦しさを打ち消すように、映画の中の人々の交流から生まれる、あたたかいやさしさが本当に心地よかった。
特に山添くんが今の会社に残留することを元上司に伝えるシーンなんかはこちらまで泣きそうだった。他にもグッとくるあたたかい場面がたくさん…
「やさしさ」で泣きそうになるなんてあまりないので、この映画すごいなと。

またプラネタリウムという要素が本作のテーマである「ケア」に接続しているところにもグッときた。
星を探すようにじっと相手を観察して、受け入れる。理解する。手を伸ばす。
星と星の間は物理的には何百光年も離れているように、人の距離感は違う。色んな人がいる。でも、その総体として繋がり、星座をつくる。仲間になる。
(街の明かりを星座に見立てている?ところもめちゃくちゃ秀逸…!)

全体を通して散りばめられた「全てを見せない」シーンのそれぞれに、僕たち観客は自身に「気になる」という感情があることを認識させられる。
気になる、気にかける、ってそれこそケアだよねと。鑑賞体験がテーマに接続しているのはすごい。

そしてなるほど、宇宙のすべてを見ることはできない。でも、見えない部分を想像することこそすべてである。それこそ夜明けを迎える我々の希望のすべてであると。タイトルに帰結するのかな。

クライマックスに朗読される「夜について」
あぁ、自分たちを閉じ込めるものじゃなくて、むしろ限界を拡張するものなんだなってハッとした。

本当に本当に、やさしくて、あたたかくて、心地よい映画だった。感服した…!

少なくともあと2回は劇場で観たいって思うし確実に観にいく。早くも今年のマイベストかもしれない。出会えてよかった!
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