このレビューはネタバレを含みます
冒頭のバスの車窓の映像から始まり、ずっとずっと映像が良い。ひとつひとつのカットが美しい写真のようで、かつそれが連続性を持って完成された映像となっていく様がとても素晴らしい。
取り巻く環境のやさしさの部分しか描かれないことに対して、コンディションの悪いわたしが見たら怒っていたと思う。でもこの映画は「映したいものだけを選択できる」というフィクションであることの良さが活きていると思った。描いたものだけが全てじゃないとでも言うように、この映画はあまり多くを映しすぎていない。イライラしたりやさしくなれなかった人が映らないからって、そういう人が存在しないわけじゃない。意図された行間が存在する。
家族でも友達でも恋人でもない同僚という存在。人間関係にラベリングなんて要らないと思いたいけど、時には肩書きや距離が近すぎないからこそできるコミュニケーションもある。自己開示もそれを受け入れて見守ることも助けることもすごく難しいことだからこそ、依存せずにそれができる場所や関係性は大切にしていきたい。