サエない靴屋がデカい賭けに出る話。現代に住むおれらはその賭けがバカ勝ちすることを既に知っちゃってるわけだが、それでもビジネス劇は十分スリリングで面白く観れる。なかなかすごい。
まっすぐ一本道な物語を群像劇として構成しちゃう上手さに驚いた。登場人物が結構多いんだけど、ひとりひとりの見せ場が的確で、印象に残る。文字通りワンシーンしか登場してないやつもいるんだけど、そいつまでちゃんと「キャラクター性込みで」記憶できる。だから実話映画のラストに必須の「このあとこの人はこうなりました」パートまで、長くても飽きない。
かなり技巧を抑えているというか、変なことやってない。編集もカメラワークもほとんど透明で、気にならない。これ、上手くないとできないやつね。ベン・アフレックの監督作品は初めて観たけど、こんな渋い撮り方するんすね……。
その比較的平坦な語り口の中で、「現代からの視点」をモンタージュする演出はなかなか光ってる。エア・ジョーダンが成功することも、マイケル・ジョーダンが苛まれる苦難も、おれらしか知らないのだ。映画の中にいる彼らが、よく分からない未来に向かって突っ走る。
