よねっきー

ARGYLLE/アーガイルのよねっきーのレビュー・感想・評価

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
4.4
序盤の「面白くなさそう………」という不安を吹き飛ばす快作、いや怪作。インド映画も顔負けな演出の足し算で、コテコテに魅せる魅せる。わかったわかった、もういいよってくらい畳み掛けてくるので爆笑。すげーお腹いっぱいになった。

『キングスマン』はバカな見た目や設定に反してかなり硬派なスパイ映画だったけど、今作は最初から結構バカに振り切っている。脚本もいつもの人じゃないみたいだけど、その分マシュー・ヴォーンがのびのびやっていたようにも思う。今までの仕事とは別物、と割り切れていたような。いや、モチーフとかセットはめちゃくちゃ『キングスマン』シリーズと似てるというかカブるんすけど、アプローチが違うんすよね。最近の彼が、グロくない方向を模索してるのは何なんだろう。『キングスマン』以降、明らかにマインドチェンジがあったように思う。今回は全年齢が楽しめる愉快なスパイ活劇という感じで、子どもに見せたくなる感じもあった。

持ち前のビビッドな画面作りや華麗なアクションも、もうしっかりとファンタジーでアホな領域に踏み込んでいる。アクションにダンスを取り入れるのは前々からやってたけど、もう「取り入れる」の域を越えてた。ダンスにアクションを取り入れてる。こういうのが好きなのね。できて良かったねえ。

総じて呆れるほどバカ映画だったが、ここまでちゃんお楽しいバカ映画は、やっぱりバカには作れないと思う。確かな実力があってこそ。終盤で二転三転しすぎて逆に緊張感なくなるのもご愛嬌。
よねっきー

よねっきー