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ミンナのウタのprocerのレビュー・感想・評価

ミンナのウタ(2023年製作の映画)
3.4
おぉー!!
最近大スランプの(というか、
恐怖演出の感覚がズレてきた)
清水崇監督の復活を感じた作品。
しかし、完全復活!ではなく
やや復活、という感じ。

物語は何十年も前に送られてきていた
カセットテープから始まります。
ただ今の人たちが観たら、
B面や録音の仕組みがわからないでしょうね。
B面とはテープをひっくり返して
再生すると別の楽曲が聴ける機能です。
しかも、このテープ、その場でも
録音出来たり、ソースを直接録音出来たり、
かなり優れものです。
まずは、この仕組みを知らないと
意味がわからず怖さは半減ですね。

清水監督の今回着目したテーマは、
音です。
現実にあった偶然が起こした
あり得ない事実や、
歳を重ねて、耳鳴りを経験すると
この作品の恐怖は倍増しますね。

と、監督お得意の直接的なヤバい顔が
ドカンドカン出る演出は形をひそめています。
そこが今回の良さである要因でしょうか。
後半につれ、また映像で攻めてきますが
方法が違います。コレも良かった。

しかし残念ながら、私は
最近流行りの幽霊顔に怖さを感じないのです。
ドス黒くて血管だらけで、
目が赤く光るような。
その前は白目が無い全部黒目でしたね。

昭和世代だからでしょうか、
白目や血だらけなど古典的な方法が
一番堪えます。昭和40年代に
テレビ放映されていた古典怪談は
回によっては、
本当に直視が厳しいくらい怖かった。
話は逸れましたが、今は
コンプライアンスなどもあるので
やりすぎてはいけないのでしょうか。
描写はかなり抑えているように感じます。

と、いうわけで全体を総評すると
トーンダウンしていき
評価が下がってしまいますね。
ストーリーはすぐに予想がつくので、
色々と惜しい作品です。
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