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我が家の楽園のprocerのレビュー・感想・評価

我が家の楽園(1938年製作の映画)
4.0
 久しぶりのキャプラ作品。
しかし、時代が変わっても
何も変わらない。
何十年も前に観た
「スミス都に行く」の時も感じた事。

 今回はいつにも増して、
コメディー寄りな描写が多い。
しかし一見ハチャメチャな様でも
そこはキャプラ。
伏線は回収にいくし、
主役の老人は実に人間味があり、
言葉ひとつひとつに
説得力と重みがある。
そして、やっぱり
最後にはしっかり泣かせてくれる。

 劇中、今の日本とダブらせる
皮肉な描写があって面白かった。
多少のネタバレですので、
気になる方は線の中は
お読みにならないで下さい。

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 主役の老人、バンダーホフに
国税局の職員が税金の徴収にくる。
あなたは所得税を払ったことがない、
今すぐ遡って払って下さい。
そう言う職員に老人は言う。
「何故?私は信用していない。
何に使う?守ってくれるって?
軍艦?州の境に柵でもある?」

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こういった上級な皮肉を
言わせたらキャプラは
天下逸品!
 社会とは?働くって?
上流階級って何?
相変わらず作品にはたくさんのことが
詰まっていて、考えさせられる。

 そして大事な事がひとつ。
私の大好きなメリーポピンズは
この作品のオマージュが
たくさんある事に。
私が気づいただけで、名前、職種、
シーン、環境、主題。
まあ、映画になるくらい揉めた
原作者との話もありますが、
偶然とは思ませんでした。

 それと、相変わらず時代を超えて
カッコいいジェームススチュアートや
本作に出てくるキャラクターは、
手塚治虫作品そっくり!
こういった作品はあらゆる分野に
影響を及ぼしているんだな、と。

 なんと1938年の作品。
しかもオスカーで作品賞、
監督賞受賞しているんですね。
ある世の出来事に至っては、
90年前にオスカー5部門
総なめ。おそろしや。

 今まで観たくても、レンタルに
頼るしか無かったり
他の鑑賞作品は全てDVDやLDで
購入していましたが、
良い時代になりましたねー。

 でも、こういう名作は
なかなかデジタル配信もない。
やはりキャプラ作品は素晴らしい。
あったかい気持ちになって
〆る、流石の一本でした。
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