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LONESOME VACATIONのmatsucoのレビュー・感想・評価

LONESOME VACATION(2023年製作の映画)
4.5
とても好きな映画だった。恋愛と一緒で良い作品との出会いはどきどきするしもっと知りたくなるもので…まさにそんな気持ちにさせられる映画でした。旅やバカンス、ロードムービー的な要素や探偵、可愛い&美しい女達、ヒューマンミステリー?などなど…グッとくるポイントが沢山詰まっているのですが、真っ先にお伝えしたいのは主人公・古谷栄一の魅力。高円寺で探偵業営むリーゼントが特徴の、昭和感もあり令和感もある(平成感は無いかな)古谷栄一。凄くおしゃれでかっこいいのだけど、自信満々な感じも無く女に興味ある感じも無く、ひょうひょうとして淡々として表情はそんなに変わる事が無い、掴みどころの無いところが魅力でかなり気になる存在。気になるし、彼が出てくるシーンや言動はつい見てしまう。それは多分、例え主人公じゃ無い役どころで彼が出てきたとしても同じ現象に陥る。藤江琢磨さんは生まれながらの古谷栄一だったんじゃないかと錯覚させてくれた。
栄一の元カノ・今日子の依頼(人探し)により動いていくストーリー。舞台は、高円寺〜三浦半島。私は元々高円寺は好きな街だから相変わらず画になるなあと思ったけど、三浦半島もかなり良かった。そこまで旅欲の無い私でもかなり旅欲が掻き立てられた。栄一と今日子の旅、というおかげもあるかも。元カレと元カノと言う、ある意味ハッキリした関係ではあるけど、昔数週間付き合っただけですぐに別れた、且つ現状は探偵と依頼人と言う…この謎の曖昧模糊な関係値…。この関係性の2人が人探しという目的により、結果的にプチバカンスになる展開はグッとくる。(全く本編とは違うけど、付き合ってない仕事関係の2人が取材先で遠出したけど台風か何かで帰れなくなり一部屋しか取れなかった宿で同じ部屋で寝るワクワク感とも似てるのかも…※←ベタだがかなり好きな展開笑)
そしてこの展開に三浦半島はぴったりであり、そこから旅欲が掻き立てられたという訳でした。自分の興奮した理由を文字にして書いてみるとかなり納得…。

登場する3人の美女も良い。紐解けば複雑に色々絡み合ってはいるのだが、三者三様で違った魅力のある人達。でもやっぱり女目線から見たら(女というより恋愛脳で育った私から見たら)皆一様に、栄一に魅力を感じている事は確かで…。"何考えてるか分からないけど、なんでだか魅力がある人間"が、男女問わず如何に人を惹きつけるかがよく分かる。また、人って、その人自身の持つ長所や特技などでその人の魅力が決まるところはあるけど、どんな人に好かれるかでもその人の魅力が更に高まる事が往々にしてある。まさにこの美女達に人間として、もしくは男として気になられている&気に入られている栄一はそう言う人という事だと思った。(羨ましい)

このロンサムバケーションは時期が「冬」ってところも良い。私は好きな季節は基本的に夏一択だけど、この作品は冬を素敵に描いてるシーンが幾つかあり、冬が楽しみになった。夜の海での栄一がギター弾いてみゆが踊るシーン、明らかに夏の海とは違い空気が澄んでる寒い感じが、切ない雰囲気を感じさせてくれて良い。もっと好きなシーンがラストの方にあります。ストーリーや展開は勿論書きませんが、寒い日に厚着してもこもこ状態になって、白い顔で鼻の頭が赤くなってる男女ってかわいい…物凄くきゅんとしました。冬が少しだけ待ち遠しくなり、また、そのシチュエーションが少し羨ましくもなりました。

音楽がまたこれが…。すばらしか以外考えられない作品でしたね…すばらしか知らなかったけど、大大大好きになる。私の好きになる映画の条件のひとつで、音楽と映画が妙に上手い具合に一体化してる映画がほんと好きで。
映画でもドラマでも漫画でも、笑って泣ける作品って最強だと思うんだけど、それと少し似た感じで、ポップと哀愁がどちらも感じられるものも良いなと思っていて…。私は音楽とか全然専門的な事など一切分からず感覚的な事しか分からないんだけど、このすばらしかによって、ポップさや哀愁がうまい具合に混ざり合い、心にこびり付いて離れない作品へと昇華させてくれた気がしました。

映画欲、旅欲、音楽欲、探偵欲、恋愛欲…色々な感情が沸々と湧き上がらせてくれた映画だったな。是非、探偵・古谷栄一シリーズ化お願いします◎
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