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SISU/シス 不死身の男のtakatoのレビュー・感想・評価

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)
4.3
 ヨシキさんが絶賛されていたので詳しくは「black hole」を御覧ください。仰られていた通りで娯楽映画というのを真剣に考えることがいかに大切か、それを達成するといかに清々しいか改めて認識しました。小賢しいんじゃなくて、本当に志が高いってのはこういうことだよ!。



 もう章のフォントだけで、ファーストショットのどこまでも広がる荒野の撮り方だけで「あ、違う…」ってのがビンビンに伝わってきました。映画ってのは複雑な物語の巧拙でも、社会的に立派なテーマを扱ってるから高級ってわけじゃ断じてない。映像でいかに語るか、正にこれに尽きる。「ナチを不死身の爺が皆殺しにしたら面白くねぇ〜」的な安易なノリに陥りそうなところを、映像をいかに撮るかいかに語るかだけで潔いまでに胸を打つものになっている手腕に脱帽。「彼は強いとか弱いんじゃない。ただ、諦めないだけ」的な台詞はロッキー味があって素晴らしかった。


 ないものねだりするなら、エモーションの貯めのために捕虜の女性達がもっと酷い目にあってることが描かれるなり匂わせて欲しかった。女性が嘲笑い出すシーンも「チェンソーマン」オマージュで「死体が喋ってる」みたいに端的にビシッとキメて欲しかった。もしくは、もう狂っちゃってるようなボロボロな人がゲラゲラ笑いながら言う方がより恐ろしかった。


 あと、別にイヌ好きじゃないけど本作のワンちゃん描写は満点でした。人間より動物や自然の方が大切!なマスター・アジアみたいな発想は感情的で大嫌いですが。
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