オールジェンダートイレで出会った、たまたま恋人と別れたばかりのドムとヤズ。この導入だけでも100点でいい。
攻撃的or支配的な人が出てこないので居心地が良く、一応ラブストーリーだけどロマンティックなファンタジーじゃない。これからどんな関係になるかをお互いに探り合い、友達っぽい場所からどう展開していくかはその時になるまで誰にも分からない。そんな緩さとヤズとドムの絶妙な距離感がとても魅力的。
ドムがピンクの、ヤズが紫の靴を履いてるのも色合い的にステレオタイプを脱していて、ファンタジックではないのに煌めく、理想的なのにリアリティもある。恋愛なのかそうでないのか微妙な名もなき感情、止まっているのに走り回っているような躍動感といった心情の機微を音楽やカメラワークで表現するアーティスティックな演出も見所だ。
一体二人はどうなってしまうのか。その先を知るには流れに身を任せよう。