大半の住民がいなくなった街で日常を謳歌するのは、精神病院に入院していた人、セックスワーカー(精神疾患と合わせて描かれているのは微妙だし酷い)、動物達。
逆説的にマジョリティがいかに公共空間から特定の人や動物を排除しているかが分かる。
ドイツ軍の侵攻などまるで最初から無かったかのように、ハートのキングと国民は内側から外界へと歩を進めていく。この開放感が本作最大の魅力だろう。
流石にジェンダー観は保守的過ぎて辛い部分も多いけど、いつも表を歩いている人がいなくなると普段抑圧されている人が表に出てこれるようになるという着眼点は秀逸。
ドイツ軍から町は解放されたはずなのに、社会的マイノリティの人達は再び自由を奪われてしまう。
深読みしてもそこまで意味があるわけではないかもしれないと思いつつ、公共空間について自ずと考えさせられる映画だった。