だーすけ

カンダハル 突破せよのだーすけのネタバレレビュー・内容・結末

カンダハル 突破せよ(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ジェラルド・バトラーin中東という組み合わせ、そして邦題からしてもいつものジェラルド・バトラー無双が繰り広げられるB級痛快アクションかな?と思って観たものの、割と硬派で堅実でシリアス、何より誠実な作り。

俺自身が中東情勢にあまり明るく無いのと、全体的に誰が誰でどういう立場なのか、どういう背景から来る行動原理なのかわかりにくいんだけど、
作りとしてはかなり中立、なんなら傲慢なアメリカのせいで現在の中東情勢が悪化してることをちゃんと示し、中東内の各派閥の対立構造やそれぞれの立場も一括りにせずに個別にちゃんと描いてるように見えるところはとても誠実な映画だなーと思う。

撮影が素晴らしい。
昼の砂漠、夜の砂漠、どちらも荒涼としているのに美しい。でも逃げ場は無い感じが伝わってくるくらいには荒涼。

ナイトスコープつけながら運転してる映像なんて初めて観た。
今までこれやった映画あったかなー?

その状態でヘリから受ける襲撃、その後の銃撃戦、終盤のチェイスと主人公の車爆破からのメキシカンスタンドオフ的な対決あたりのアクション演出も素晴らしかった。
このへん全く手を抜いてなくて、緊張が緩まなかった。

音楽も目立ちすぎず、かつ上手くそのシーンの印象を深めてて上手。

欲を言えば、もっと主人公と通訳のバディ感を出しても良かったと思うし、
CIA上層部との絡みや軋轢があっても良かったと思うんだけど、
そういうのはやり過ぎると全体のシリアスなトーンとも乖離するだろうからこれくらいでいいのかもね。