だーすけ

ホイールマン -逃亡者-のだーすけのネタバレレビュー・内容・結末

ホイールマン -逃亡者-(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

またもや観てたの忘れて2回目。
前回の印象はそんなに無い(だから忘れて2回目観ちゃう)んだけど、
実はこの映画、撮影と編集がなかなか素晴らしいことに気付けた。

都会の雨の夜、車の窓の水滴、水滴に反射する街の明かりやネオンを艶かしく綺麗に撮ってるかと思えば、唸りをあげて走る車の疾走感、特に後半で活躍するポルシェの獣のような動きの撮影は見事。

編集も素晴らしくって、緩急がしっかりしてる。
中盤までの密室劇のような、車の中からほぼ出ないで電話だけで物語が進行し(電話の使い方も見事)、カーチェイスでも主人公の車の全貌は全く見せないのにめちゃくちゃ運転が上手いことをわからせる演出と編集。

後半、娘と合流してポルシェに乗り換えてからはガラッと演出も編集も代わり、ポルシェの全貌は出まくるわ、ビビってローギアにしか入れなかった娘が、一人で父親を救う決断をしてからは3速まで入れるくだり、父と運転変わってから、それぞれのシートベルトがカチッとはまるクローズアップ、、、
このあたりはなんならその映像表現だけで娘の成長や父娘の絆みたいなものまで見せててお見事。

別れた奥さんは拉致られ、助け出されるけどあえてほぼ写さないのも潔い。
奥さんは口うるさい設定のようだから、これはお話をタイトにする上での判断かも。出しちゃうと絶対に別れた夫妻の口論とか描く必要が出ちゃうからね。

物語の幕引きも潔い。
追ってくる新興マフィアを旧勢力に引き渡しつつ、ほぼ同時に射殺させる手際の良さとか、実はこの主人公、切れ者だな。


映画としてのジャンル(ドライバー物、運び屋とか逃し屋物)や、タイトル、主演がフランク・グリロであることから、B級映画扱いされちゃうんだろうけど、
なかなかどうして70年代の犯罪映画の雰囲気を纏った、地味だけど、良い映画。

やはりドライバー映画は都会の夜の風景が似合うね。
今作では雨まで降ってて、より寒々しく冷たい都会の夜に見えて良し。