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マン・オン・ワイヤーののんchanのレビュー・感想・評価

マン・オン・ワイヤー(2008年製作の映画)
3.8
1974年8月7日、ニューヨークで完成したばかりのワールド・トレード・センタービルのツインタワー(今は無き、あの9.11のタワー)地上411mで、ワイヤーロープを渡し、命綱なしで綱渡りを行った男がいた。
フランス人の大道芸人フィリップ・プティ(当時24歳)

それは『史上、最も美しい犯罪』とも言われた。

彼はなぜそんなことを思いつき、どうやって偉業を実現させたかの詳細を本人と仲間たちがインタビュー方式で話っている。

子供の時から高い所が大好き、先生や親も止めることはできなかった。
17歳の時、歯医者の待合室で目に入った雑誌にこれから出来上がるというツインタワーの写真が載っていて、思わず釘付けになってそのページをむしり取って治療もせずに夢中で飛び出した。
それからというもの、そこで綱渡りをするのが夢となった。

20歳でノートルダム寺院、その後、オーストラリアのハーバーブリッジでの綱渡りを決行した映像も残っていた。

なぜ出来たのかは周りで支えた仲間がいたから。しかし、俄に手伝ったメンバーもいて、誰もが不安しかなかった。
いよいよ決行の日、逃げ出す仲間も。
特に頭脳明晰で理論的、あらゆる面でサポートして来た精神的にも落ち着きのある親友ジャン・ルイが"やるしかない"と決断する。
そして、当時の彼女アニーは地上で見守っていた。

45分間、綱の上を8往復し、途中で跪き、また仰向けでも寝る。そんなことを繰り返し、やり遂げたとして、その後は待ち受けた警官に捕まる。
当時それを見守った警官が言う「あれは綱渡りじゃない、綱ダンスだった」と。

その偉業を成し遂げた後が悪かった。取り調べの裁判所を出た時、ファンだという女性にどこか知らない所に連れて行かれてベッドインしたという。その思い出を語る。その後、仲間のところへ戻るのが怖かったとも...
本人は大スターとなり浮かれ気分。
起訴もその後にチャリティとして綱渡りをすることに同意して免れている。しかし、仲間はアメリカから追放された者がいる。そんな差があるなんて...

親友も彼女もその後に彼から離れてしまった。
しかし、こうやって当時を振り返ってドキュメンタリーのインタビューに真摯に答えている姿は真剣で、お互いに信頼し合っていたのは間違いないのだろう。

とても人間業とは思えない、誰もが2度と出来ないだろうチャレンジャーだった。

今作はアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞受賞🏆
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