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碁盤斬りのmoonのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
3.2
原作 未読 囲碁分からず。

フィルマのレビュースコアの高さとポスターのタイトルデザインに惹かれ コレは見ておこうと行って来た。


うーん…とにかく、画面が暗い!暗すぎる!碁を打つシーンの殆どが行灯の光のみという…昼間でも碁打ちシーンは暗め…監督は 当時のリアリティを追求した?のかと思うが、客から観て、碁盤の目や 黒い石が闇に隠れて見えないのは どうなの?白い石ばかり画面に浮いて視える。
碁を知らない私なので、観にくくても勝負の行方は画面から推測できる訳ではないから 、困るという話ではないが…
とにかく、最後まで全体的に暗いのが気になって仕方なかった。
まだ営業して7年程しか経ってないイオンシネマで観たから…多分 映画館のせいでは無いだろう…

そして、暗いのと同じくらい気になったのが、やたらとフォーカスがズレる(動く)撮影法…最初は自分の眼がおかしくなったのでは?と焦った…が、手前がぼんやりしたかと思うと今度は背景がボケたり…それが活きるシーンならともかく、あまりにも頻繁だし、意味が無い演出ではないかと思った…

と、ストーリーや演技についての感想を置いといて演出が気になった作品だった。
しかし、草彅さんや國村さんの演技は 良かった。それだけに、残念な気がする。
そして…


《 この先はネタバレ⚠️です 》








このタイトル…どうなの?
最初見た時は、ちょっと かっこいい!碁が強い主人公が、相手を負かす(斬る)事を指すのだな…としか思わなかった…けど。
タイトル文字も めちゃくちゃ私の好みで好きだけど…


このタイトル、大いなる「ネタバレ!!じゃーん!!」と、結末が描かれる前に解ってしまい…緊迫感が一気に萎えた…
もちろん、あのような結末が理想だったし良かったが…それにしても、先が見えないまま、ドキドキハラハラしながら結末を見届けたかったな…
どうして…タイトルが もろにネタバレになってるのだろう…原作も同じなんですよね?
一番の山場で有り、気になる結末だったのに…かな〜り残念!!

ストーリーに関しては、柳田(草彅さん)の過去が多分 小説ではしっかり描かれているのかもしれないが…映画だけだと少々 背景が物足りなく思った。妻との関係も薄くて、また、仇である柴田兵庫(斎藤工さん)の人物像も浅くて…イマイチ極悪人には見えず…後に柳田が言うように本当は藩を追われた仲間を想う人間だった?という事だから それで良いのかもしれないが…この役は斎藤工さんで良かったのか?もっと強面の大柄な殺陣が上手い役者は居なかったのか…と思った(斎藤さんのファンの方 すみません🙇‍♀️)

主人公が 生真面目過ぎた事が 反感を買って 濡れ衣を着せられたり、仇が言うように妻からさえ疎まれていたのか…
真相は ハッキリ分からなかったが、
その生真面目さ故に大店の主人に気に入られ、主人も柳田格之進のように正直な商いを目指して行く過程などは 分かりやすく描かれていたと思うが…
五十両もの大金が無くなったのに、無くした本人が あそこまで思い出さないのは…昨夜の事よ?と 見つかった時、呆れた…

武士にとって名誉が何より大事な時代…そして、またもや濡れ衣を着せられる!!それは 断じて有り得ぬ!
憤怒を込めて啖呵をきる草彅格之進に 圧倒された!!

ストーリーはイマイチ 取ってつけた感があったが…

草彅剛さんの演技は とても魅力的だった!
メリハリが有り、渋く、カッコよかった!!表情も台詞も、改めて 演技派だなぁ…と思う。

それにしても…あの ネタバレオチ…タイトル
何とかならなかった?
小説のタイトルも同じなのか?と調べたら…
何と!この話、古典落語の「柳田格之進」という話を元にした映画だと知った…

かなり変更された箇所が有り…
落語のユーモアは一切無くし、シリアスな侍(武士道)映画に作られたようだった。
だからか…仇(柴田兵庫)がとって付けた感じだったのは…

ラストシーンも映画オリジナル

あそこは 格之進が絵巻を売って得た金を持って己のために藩を追われた家臣達の元へ せめてもの詫びを入れに旅立って行ったのだと…私は思った。
先々、恨まれて命を失うかもしれず…娘に言えば止められる…それでも、正義感の強い格之進は行かずには居られなかった…
それで、娘の幸せを見届けた後、 誰にも告げずに消えたのだろう…

あのラストは良かった。

おそらく、無事、格之進は思いを果たして娘の居る江戸に戻ったのではないだろうか…

映画のタイトル「柳田格之進」で良かったのに…
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