秀ポン

ヴァチカンのエクソシストの秀ポンのレビュー・感想・評価

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)
3.9
四不像:馬、鹿、ロバ、牛、全部に似てるけど、そのどれとも違う動物。
そんな感じの映画だった。

ホラーは苦手だけど、ラッセルクロウが主演なので見に行った。

変な映画だった。
ジャンルはホラーになってるんだけど、そのカテゴライズはしっくりこない。怖くなかったどころか面白くて笑えたし。
しかしそれはホラーとして出来が悪いからとかではなく、そもそも怖がらせるところにこの映画の力点は無いように思える。
その他にも、アクションのようでいてアクションではなく、ミステリーのようでいてミステリーではない。途中でアドベンチャー的なテイストも加わってくる。映画界の四不像だ!
じゃあこの映画はなんなんだと考えた結果、これって変則的な刑事ものなんじゃないかと思った。

悪魔(犯人)を祓う(捕まえる)ために現場に向かう。そして相手の正体を知ることが相手を祓うことに繋がるため、捜査を行う。

うん、刑事ものだ。
一方的に恐怖存在に襲われるわけではなく、はなからそれを打ち倒すつもりの主人公は刑事のメンタリティをしている。
変則的なのは犯人が目の前にいる点だが、しかし、実際のところ目の前にいるのは悪魔の憑いた子供であって、悪魔自体はその姿を見せていない。
そして、遂に正体を暴いた悪魔と対面するそのとき、主人公はむしろ自分自身の影と向き合うことになる。
刑事ものの中でも、かなり優れたものなんじゃないかと思う。

面白いし楽しいし、ラッセルクロウの神父がめちゃめちゃ良かったしでとてもいい映画だと思った。

──その他、細かな感想。

・弟が憑かれるまでの序盤はかなり怖かった。

・悪魔憑きが整えられたベッドの上で寝てるのがちょっとウケた。整えてもらってる間は静かにしてるんだ。それか自分で整えてんのかな。
十字架がそろ〜って回るのも面白い。

・鳥を吐き出すのも面白かった。恐怖の対象が常に画面内に収まってると安心感がある。見るもの見られるものの関係で観客側が一方的に優位をとれる。

・教皇が血をビューって吐くところで笑ってしまった。この辺の、しっちゃかめっちゃかのカオス状態は本当に面白い。

・神父2人が洞窟探検してる図、ちょっと面白いし、結構かっこいい。

・ラッセルクロウが本当に良かった。スクーターに乗る神父めっちゃ良いな。
袈裟を着てスクーターに乗るお坊さんを見るとなんか良いなと思うけど、海外にもそれに相当する感覚があるんだなと思った。
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