パイルD3

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのパイルD3のレビュー・感想・評価

4.0
先日観たケリー・ライカート監督のデビュー作「リバー・オブ・グラス」は、サンダンス映画祭で一気に注目された作品ですが、この新人監督の手によるオーストラリア産ホラーもサンダンス映画祭で話題になって、世界中でヒットすることになったらしい。なるほど、またA24作品。
オカルトとゾンビゴーストのハイブリッド、明らかに新種登場と言えるホラー映画だと思います。

いきなり冒頭のとんでもない流れに驚愕させられて、後はもう見ている間、ホラーとして鮮度の高い展開にずっと引っ張り倒される。
単に見せ方が怖いとか、ヤバそうな幽霊大暴れとか、無理筋の呪いを叩きつけて勝手に終わるよくある単調ホラーとは違って、孤立する死生観の領域にまで、もう一歩踏み込んでみせたところに、かつてないタイプの感情的な恐怖が煽られる。

若い仲間連中が、奇妙な時間ルールのある降霊パーティに夢中になり、思わずややこしいことになってしまうという、シンプルなウィジャボード憑依ホラーのスタイルながら、ややもするとコメディに流れそうなストーリーを、途切れない緊張感と暴力度数の高いこだわり映像でしっかり最後まで描き込んでいる。
監督は、映画では未だ無名に近い双子のYouTuber、フィリップボウ兄弟。よく知りませんなー、でも気になる、やたら気になる。
既に見せ方もストーリーテリングも絶妙なテンションと呼吸を持っていて、今後目が離せなくなりそうだ。

本作では特に効果音、リズムの使い方が絶品。(個人的には主人公の友人ジェードのスマホの着信音がお気に入りです)
同じくA24のレーベルで、続編「トーク2ミー(仮題)」の製作が決定しているらしいが、早くもクセになりそうなホラー感性に期待してしまう。

ホラー映画が少しでもお好きな方なら、この今の時代にこそ合致した新手のホラー感覚は、ぜひ体験しておきたいくらい見どころ満載です。
パイルD3

パイルD3