このレビューはネタバレを含みます
坂元裕二、怒涛の連続リリースである。アプローチは違うけれど、ファーストキスに引き続き、生と死を扱う本作。前作とは異なり、死者は生者と交わることができない。死者からの片思いも、生者からの片思いも、どこまでいっても平行線である。ただ、目には見えないけれど、私たちのすぐそばに死者は存在するのだという投げかけは、身近な死を経験した人には、切なくも優しいメッセージとなると思う。
ということで、やりたいことはよくわかる。何もかも言葉で説明しようとする脚本おかげでとてもよくわかる。
作品のクオリティはお世辞にも高いとは言えない。はっきり言うと、ここ数年で最低レベルである。
いつも通りのセリフ然とした脚本も、前作に引き続く設定の甘さも、まだ許せなくはないが、終盤にかけてのトンデモ展開からの御涙頂戴の音読合戦には、もう勘弁してくれという感じである。
最近の坂元作品がなぜ評価されるのか全く理解できないが、注目度の高さに加えて、平均スコアの高さからも、私の感性が合わないだけなのだろう。
もっとも、増崎役の伊島空は素晴らしかった。彼の演技はピカイチだった。