広瀬すず・杉咲花・清原果耶という朝ドラヒロイン3人衆×坂元裕二という磐石の布陣ともいえる作品。
「片思い世界」という爽やかなタイトルを見てから2,3年。前情報を得ず、鑑賞したところ、良い意味で裏切られた。
何から語ってもネタバレになるのだが、個人的に2010年過ぎの社会的なドラマを書いていた坂元裕二が頭をよぎった。
そして今回、死後を生き続けるというリアリティの無い設定が付け加えられた。
幽霊の設定というのは色々と難しいもので、今回は人には触れられないが物には触れられる、すり抜けはしない、定義が分からないので、そこまで気にはならないが、興味のある人には気にはなるのだろう。
ただ坂元裕二において、幽霊であることは特に興味が無く、やはり現実世界における人間関係に着目していることがよく分かる。
優花の母が、事件を起こした犯人に襲われそうになった時の3人の無力感というのは、現実世界とどこかリンクする。
少年法で守られ、時は進み、結婚するという、何故、犯人が守られる世の中なのか、死後の世界を生き続ける3人との対比が、何か考えさせられる。
そして、その犯人役を演じた伊島空は凄かった。反省してないのが見える、同情の余地も無い、視てる側がはっきりと生きてはいけない奴だと認識させる演技、褒めたくはないが凄い。
ファースト・キスに続いて、映画脚本でも、その力を見せることになった。
視聴者の想像力に任せ、賛否両論がある点においては、良い映画だと思う。