ハードルを下げてから観たほうが面白い映画
「インセプション」のような予告映像と、ベン・アフレックが主演なので観ようと思っていた映画でした。
ただ、評価が妙に低いので嫌な予感もしていたのですが、ある意味、それが的中してしまった感じです。
■ あらすじ
刑事の主人公ローク(ベン・アフレック)は娘を誘拐されたことで心を病み、妻とも離婚。ある日、銀行強盗のタレコミを元に駆けつけた銀行で娘の居場所のヒントを得る。
ロークは犯人を建物の屋上まで追い詰めるが、犯人の男は屋上から転落。不可解にも死体は見つからず、娘の居場所を追い続けるロークの周りでも次々に不可解な事が起こり始める・・というもの。
■ 感想
自分がハードルを上げすぎていただけでしたが、気になる所が多い映画でした。
□ ヒッチコック・オマージュ
監督のインタビューでは、ヒッチコックの「めまい」のリマスター版を観て得たヒントから2002年には脚本を書き上げ、その後20年を掛けて完成させた作品だそうです。
ということで、ポイントはヒッチコック。ブライアン・デ・パルマ監督など、ヒッチコックの信奉者は多く居ますが、本作はそのまんまやってしまったのね、っていう感じでした。
冒頭、犯人を屋上まで追い詰めるシーンは「めまい」の冒頭そのまんまですし、女性がシャワールームで殺されそうになるシーンは「サイコ」のまんま。
シャワールームの女性の背景にハサミのシルエットが映る1950年代のヒッチコックの映像を、現代でもう一度見ることになるとは思いませんでした。。
他にも「ダイヤルMを回せ」のオマージュなど、ヒッチコックのテイストを監督自身で消化して新たな表現として使うならまだしも、観てて、あーこれはヒッチコックまんまやわーと思わせるのはいかがなもんかと。。
□ 撮影・編集
元々、クエンティン・タランティーノとも親交が厚く、作風も近い監督ということもありますが、編集無茶すぎ😅
たとえば、追われるベン・アフレックが貨物列車の操車場に逃げ込むシーン。
追いつかれそうになったかと思うと次のシーンではかなり距離があり、と思ったら次のカットでまた囲まれている。場所にも繋がりがなく、典型的な『頭の中で地図が書けない映像』
トータル94分のテンポの良さの裏返しなのかもしれませんし、ネタバレ的にも説明できるのかもしれないですが、不親切で好みではありませんでした。
□ ストーリー
個人的に、冒頭15分ぐらいがピークで、その後はどんどん低予算B級SFになっていく印象。からくりの全貌がわかった時には、『いや、それはあまりにも無理な設定やろ・・・』と思ってしまいました。
あと本作は、どんでん返しがウリの映画のようですが、後出しでどんどん新しい設定が出てくるので、『お、おう・・』って見るしかないですね。
どんでん返しって、ちゃんとヒントは見せていたのに見るほうがまんまとミスリードされ、本当のことがわかった時に、『しまった、あれはそういう意味か!』って納得するものだと思うのです。
■ とは言え
あらためて考えてみると、自分が勝手にハードル上げてたのかな、とも思いました。
本作は、2020年から撮影に入るものの、コロナ禍により予算や期間が大幅にカット。ロバート・ロドリゲス監督はロケを断念し、自身が所有するスタジオ『トラブルメーカースタジオ』内で、ほとんどの撮影を行ったそうです。
撮影にあたっても、監督も出来るベン・アフレックとアイデアを出し合い、ロバート・ロドリゲス監督自身が撮影や編集も担当、なんとか完成にこぎつけた作品なんだとか。
それを知って、ごめんごめん、と反省した次第です😓 ということで、あまりハードル上げずに気楽に楽しむ映画としては良かったのかな、と思いました。
■ 余談
・エンドロール後にもストーリーが続きます。続編作りたいん?って思いましたが・・・
・ウィリアム・フィクナーとベン・アフレックは「アルマゲドン」で共演してた
・娘ミニー役のハラ・フィンリーの眼の演技が素晴らしかった
・邦題を「ドミノ」にした人は反省すべき🤨
◇
2023年 Mark!した映画:303本
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