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けんか空手 極真拳のblacknessfallのレビュー・感想・評価

けんか空手 極真拳(1975年製作の映画)
3.4
極真空手の創始者大山倍達の半生を画いた伝記映画。

伝記なんだけど絶対に伝記じゃねえだろうって展開の嵐に改めて観ても呆気に取られる。

当時の空手界の潮流寸止めに異を唱え、フルコンタクト至上主義を掲げ空手界と軋轢を生む。
まあ、これは本当だと思うんだけど、当時の主流派の空手道場が刺客を大山倍達に差し向けるんだけど、これが日本刀の使い手、人呼んで"剣鬼"と名乗る忍者みたいなかっこしたやつで、およそ終戦後の人とは思えないレトロな雰囲気のおじさん笑
本当にこんな人いたのかよって戸惑う間もなくあっさり大山に殺られる笑
剣鬼、絶命してるんだけど、事件化する気配もない笑

まあ、格闘技の映画では死んでも警察の気配ないのはよくあることではあるんだけど、この前段で大山は酒場でヤクザに絡まれて正当防衛なんだけど相手殺して逮捕されてるんだよね。
そーゆー比較的実社会と近いリアリティー設定だったのに、刺客が出てくると突然、非現実的な世界になってしまう笑
伝記なのにこれはねえよな!?ってなる。

この映画のおもしろさは実はここで、この伝記なのにこれはねえよな!?がいっぱい出てきて、その突拍子のなさがいつしか楽しみになってくるんだよ笑

他のにも意識の齟齬があったとは言え好きだった女性をレイプする!そしてその後、誤解からレイプしたことを謝罪し、その女性に求婚する大山!?
何考えてんだ!?って思うけど、さらにあり得ないのは、この女性、大山を受け入れちゃうんだよ、、笑

それと、主流派の道場との果し合いを野っ原でやるんだけど、主流派の道場生達の中に何故か太極拳を使うやつがいる笑
なんで空手で戦わないのか笑
そもそもその前にピストルで撃ってくるやつもいるわで、空手の果し合いの体をなしてないんだよ笑
ここでも大山、数人殺ってるけどお咎めなしな感じだし笑

だから、何でこんな伝記離れしたパンチの効いた展開になってるかと言うと、原作が梶原一騎の劇画だからなんだよね。
要するに梶原一騎の世界の大山倍達が画かれているんだよ笑

梶原一騎と言えば元祖スポコンだけど、スポーツの美徳とか信じてなくて、むしろ、何かを突き詰めると人間的なバランスを欠いてしまう、突き詰めることの不条理を濃厚な文学的センスと激しすぎるバイオレンスで画く狂気の詩人なんだよ(巨人の星の星飛雄馬の悲劇的な最後なんかにもそれはよく出てるよね)。

なのでこれは梶原一騎の色に染め上げられた大山倍達像だと思って楽しむのが正しい見方なんだと思う。
実際、大山倍達も原作には複雑な思いがあったみたいだし笑

数時間前に間違えて"ケンカ空手 極真無頼拳"に感想アップしてしまいました、、なのでアップし直しました。

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