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あぁベリンダのkissenger800のレビュー・感想・評価

あぁベリンダ(2023年製作の映画)
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オリジナル作(1986)の母国語レビューを自動翻訳で何本か読んでいくと、1980年代トルコが軍事政権によって強制的にリブートされた体制、つまり伝統的な価値観が断絶した空隙を西欧コマーシャリズムが埋めることでいろんな化学変化が社会におきた背景とかなんとか、作品の意義が大きかったらしいと想像できるんですよ。
長文が多いうえ、第三者発言とか引用してくるスタイルが彼の国における映画評の定番っぽく、ややこしいけど新鮮。そのぶん、本当はトルコ映画ミリしら勢のくせに知ったかぶりして威張りたい欲が募ってとても困るんですが。

リメイクの本作もその文脈に連なっており(=エラそうな顔が抜けない)これ単品の表面だけを見て面白い面白くない、って言うのはもちろん消費者として間違っちゃいないんですけど、君君、ちょっと聞くがなんのためのいんたーねっつなんだ、俺たちは情報を食ってるんじゃないのか。という感想にはなる。

つまり「異世界転生&オチはああそれな」モノではあるんだけど、いや、そんな……それたったひと口で飲み込んだら味わからなくない?

良妻賢母なら作れてしかるべきトルコ料理メニューだの、あるあるとして提示される狭い範囲での不倫だの、バーベキュー文化だの「寝ない子誰だ」ブギーマン編だの、もちろん出てくる観光案内を兼ねた風景や俳優陣の顔面の強さ云々、いろんな「見ただけで分かる」要素はありましたけど、個人的には見たことも聞いたこともなかったオリジナル作との対比っていう面倒くさい楽しみ方をしたおかげで満腹。ほら、年とるとシンプルなエロには反応しなくなるじゃないですか、それと同じで……変態? 変態って言うな、「加齢に伴う手の込んだ楽しみ方」!
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