DTP屋の柴犬

Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼のDTP屋の柴犬のレビュー・感想・評価

4.5
絶対に裏切らない最強のソロバディ

殺人衝動が止められないクリスチャンのシリアルキラーが主人公。頭の中に自分とは異なった思考回路をしている存在が居て、そいつとはお互いに相談をしながら時には意見を求めたりする関係。(主人公に罪悪感という苦悩を抱かせる原因は、殺人中毒から脱したい主人公と殺人中毒を受け入れている存在が頭の中に同時に存在しているからだろう。)

この映画では人格が入れ替わったり体の支配権が乗っ取られるような事もないため、二重人格というよりもイマジナリーフレンドと言う方が正しい表現のように思える。

このイマジナリーフレンドは主人公の視界に一瞬だけ入った記憶でさえも確りと覚えており、絶対に裏切らない相談役かつ自分を完全に客観的に見ている立ち位置にある。常人であれば自分の知らない自分というジョハリの窓が存在するのだがそれをカバーしてくれるおかげで大学に進学していなくとも社会的な大成功と連続殺人鬼を両立出来ている。

ただ、途中で娘が殺人を起こさないかと不安になっていたりする所は心理学でいう「殺人は遺伝する」という事を知らなければ混乱するかもしれない。

平穏に生きたいと願いながらも殺人は止められないというサイコパスでありながら、観ている此方はそんな主人公に魅力を感じて応援したくなってしまう。難しい設定でありながらキャラクターに好感と魅力を出せるのはなかなか出来ない事だと大きく評価したい。