DTP屋の柴犬

SaltburnのDTP屋の柴犬のレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
3.5
頭が良いこと以外に取り柄もなく友達作りも下手で常に周りから除け者にされている平凡な主人公オリヴァーと、実家が貴族階級で大邸宅ソルトバーンで育ったフィリックス、この二人の出会いから始まる。
彼と居れば刺激に溢れた生活が出来て毎日が非日常。金の使い方も人望も何もかもが違う異世界のような環境、これを知ったら普通の生活がいかに退屈かを思い知らされる。主人公はフィリックスに取り入ろうと画策し、見事に夏の間はフィリックスの邸宅で過ごせる事に。

フィリックスから金を貰った訳でもなく贅沢三昧をした訳でもない。他のゲストと同じく欲望に対して忠実な日々を過ごした。それだけでも「欲しい」と思わせるのには十分で…憧れと羨望と親しみと憎悪。
きっと主人公がもっと最下層の生活をしていたら共感や同情もあったかもしれない。精神的な異常者であったり特別な恋心を抱いていたら観る者も好感が抱けただろう。
だけど大多数の一般人と同じの平凡な育ちだからこそ、フィリックスや他の人間への裏切り行為が酷く醜悪に見えた。

監督の狙い通りだと思うが褒め言葉として、ここまで好きになれない主人公もなかなか居ないものだ。