あばばば

窓ぎわのトットちゃんのあばばばのレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.2
まずはあの時代に、おそらくはグレーゾーンである生徒たちがのびのびと学べる場があり、それに尽力した人がいたのだという事実に、胸を打たれてしまう。役に立たないものから切り捨てられて余裕がなくなっていくのが戦前であり、作中ではちんどん屋に象徴されているんだなと思った。最後のちんどん屋は実在したのかトットちゃんだけに見えたものなのかは分かりませんが、いずれにせよトットちゃんの心の中にはちんどん屋が歩き続けているのでしょう。とにかくひとつひとつの描写が丁寧な作品で、子どもへの眼差しにも責任や信頼が感じられた。例えば全裸でプールに入るシーンとか、当たり前に了解されるべき描写なのだが、この時代においては返って挑戦的に見えてしまうあたりに現代の病理を見てしまい、ひとりで反省するような気持ちにもなった。いい映画だった。
あばばば

あばばば