東京府東京市の音楽家の家庭に育ったおしゃべりな小学生女子で、落ち着きのなさを理由に通っていた小学校を退学させられたトットちゃんこと黒柳徹子。戦争の足音が聞こえる中、新しく個性を尊重するトモエ学園に通うことになった彼女が、理解ある校長や足の悪いクラスメイト泰明ちゃんらと過ごす一時を描いたアニメーション映画です。
長きに渡って日本のテレビシーンを賑わせる黒柳徹子が上梓して自叙伝としての発行部数でギネス記録を持つ同名作品を、映像化を拒んでいた本人を説得して制作した2023年公開の映画作品で、シンエイ動画入社が縁で多くの『映画ドラえもん』作品を手掛けた八鍬新之介がこだわりの演出で描いて多くの観客や批評家からの高評価を得ました。
ディズニーの『スターガール』や日本の『さかなのこ』といった世界的な潮流である「多様性尊重」をその代表格とも言える作品を基に描きます。玉石混合の「個性」を「タレント性」と混同するジャンルの弱点を抱えつつも、ウェットにはしない巧みなバランス感覚でだからこそ戦時における「没個性」はNOなのだと力強く宣言する一作です。