劇場公開されていた間、本作の高評価を耳にして、見に行きたいと思っていたが、私自身の体調不良のため、足を運ぶことができなかった。
Amazonプライムで課金ながら観られると知り、購入して視聴。映画館並みのお金を払って観たので、評価は少々辛くなる。
本作を観て感動したと言っている人たちは、どこに感動したのだろうか。阿部サダヲと芦田愛菜の親子愛?赤血球と白血球の生き様?
私は原作漫画も未読、アニメも未見だが、どちらも本作のようなストーリーなのだろうか。
人体細胞を擬人化する試みはとても面白いと思うのだが、ナレーションでも語られていたように人体は37兆個の細胞で出来ているらしい。地球上の人口が80億とすると、比較にならないような膨大な数だが、その割には登場する細胞の数がスカスカすぎる。このあたりアニメなら描き方次第で何とかなるのだろうが、実写だとどうしても無理を感じる。あのハウステンポスのような街並みがヒトの体内にはどうしても見えない。一方の不摂生親父の体内が汚い貧民窟のように描かれているのも、人種差別ならぬ人体差別を感じる。描写として安易すぎではないだろうか。
本作は人間の生死を扱っているだけに、同じ病気を患っている患者や家族は本作を観て、どう思うのだろう。私の体内でも、仮面ライダーと怪人の戦いのようなものが繰り広げられているのだと思うのだろうか。あの病気の扱いがあまりにも不謹慎ではないか。
芦田愛菜も永野芽郁も可愛いかった。(特に永野芽郁はコスプレをしているので尚更)
芦田愛菜が父に励まされ、「ありがとう」と涙を流すシーンは素直に感動できるが、その体内で、永野芽郁が死にゆく佐藤健に「白血球さん…」と泣く姿はいったい何を見せられているのかと、とても感情移入できない。
「八犬伝」を観た時にも感じたことだが、地の部分と創作の部分の乖離が、感動よりも「?」を呼んでしまう。
そして、長い。だから、途中で気持ちが冷めてしまうのだろう。豪華キャストが次々に様々なキャラクターで登場する「顔見世」としては楽しめるので、いっそ「ワンピース」や「ナウシカ」のように歌舞伎にすれば良いのではないだろうか。それなら白血球の白塗りも気にならない?