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サイコ・ゴアマンのマッシュのレビュー・感想・評価

サイコ・ゴアマン(2020年製作の映画)
3.5
「シネマンション」の宿題映画ということで、このタイミングで鑑賞。
映画バカ芸人•あんこさんのおすすめ作品。B級からZ級まで、どんな映画でも良いところを探す優しいあんこさんが手放しで「面白い」と勧めていたので、楽しみにしていた。
世の中にはたくさんの映画レビューが溢れており、どうしても作品を見る前に評価を知りたくなってしまうのだが…。本作に関しては「どうせクソ映画なんでしょ?」という懐疑的な気持ちではなく、あんこさんの「面白い」という言葉を信じて観たので、素直に傑作だと思った。

「サイコ•ゴアマン」の名前通り、残虐な宇宙人が血みどろの惨劇を繰り広げる一方で、8歳の少女ミミが、そいつを意のままに操ることのできる宝石を手に入れ、奴隷のようにこき使うやりたい邦題の爆笑エピソードが展開する。
ゴアマンの武勇伝は「退屈」だと言って聞こうとせず、すぐに帰りたがる友達を化け物に変えてくれと頼み、なぜか「クレージーボール」という謎のゲームに熱中し、ことあるごとにやりたがる。こうした行為は普遍的な子供そのものであり、ミミの言動を通して、「無垢」と「邪悪」は紙一重であることを教えてくれる。

誰しも、子供の頃、似たような経験をしたのではないだろうか。大人の話は退屈だったし、ドッジボールの「顔面セーフ」という謎のルールだけでなく、自分で考えた新しいゲームでは、やるたびに「ここでこうなったらポイントが一億万倍」など、勝手にルール変更するなど「自分無双」で生きていた。
そこに、自分の言うことだけを聞く最強の「しもべ」(のび太にとってのドラえもん?)がいるなんて、なんて最高なんだろう。

しかし、敵を虫ケラのようにひねり殺してしまう本作のゴアマンは、ドラえもんというより、人間を素手で簡単に殺せそうなトム•ブラウンのみちおさんを想起させる。またそれを「ダメー」と制止する布川さんが、本作のミミに重なる。狂っていて怖いネタなのになぜか笑える。本作は、トム•ブラウンの漫才そのもののような気がした。大好きである。
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