走れない人の走り方のmareのレビュー・感想・評価

何かを作りたいという願望を掲げながらも、不器用で空回りする瞬間を捉えていて非常に共感できる。メタ的に積み重ねられたそれらは自分が生きているリアルに等しい距離感で、失敗を繰り返す先にしか見えない景色があるというのも、紛れもなく確かな実感として示し合わされる。追い込まれてから覚醒する熱量でしか得られない成功の形は、考えて練られた何よりも無敵だったりする。この度、横浜シネマリンで鑑賞したが、藝大の横浜付近のロケーションがまさしく肌で感じられたし、最後の最後にゾッとするくらい、メタが現実を跳躍する快感があった。怪獣役を演じる諏訪監督がかなり面白い。ちなみに完全に私ごとですが、私の音楽仲間が主題歌をやってます。