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チャイムのmareのレビュー・感想・評価

チャイム(2024年製作の映画)
4.0
ただ呆然とするしかなく、人物の行動原理が誰一人として安定しないまま、理由のない不条理が蓄積していく異常な映画で戦慄する。物語としての一本軸を無視しているかのように、セオリーから外れまくるチグハグなイカれた構成。唐突に振り翳される狂気を目の前にして、人はなす術なく無抵抗になってしまう一方通行の暴力。ホラー描写もさることながら、日常の部分部分で神経質な人々の振る舞いが露呈し、あらゆる側面から恐怖を分散させる。Jホラーの質感に回帰した作風で、恐怖というのは本来理由がわからないからこそ怖いと感じるものであると強調する。霊的なものは一切関わってないのに、ドメスティックな昼間のシーンがほとんどでこれだけ怖いのは流石。丸鶏を捌くくだりはイレイザーヘッド、食卓シーンの不健全なノイズは家族ゲームのオマージュか。
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