このレビューはネタバレを含みます
「ある殺人、落ち葉のころに」で強い印象を残した森優作が、ここでも素晴らしい。幼女誘拐事件をめぐり、彼に嫌疑がかかる前半は、ミステリ色も前面に出てきて、ミステリ映画好きにも見応えある。ただ、それが薄れる後半は、個人的に物足りなく思えた。喪失を体験した家族の物語としては、優等生的（皮肉ではない）によく出来ていると思う。出演者のほぼ全員がいい味を出していて、その筆頭格が母親役の石原さとみであることは間違いないのだが、彼女本来の魅力が熱演を打ち消しているようにも感じられるのは実に残念。難しいものだ。
